グリーングリーン2 SS ひまわりの咲く丘で






  プロローグ

「……卒業、だな」
「……ああ」
「そして、この学校も廃校だな」
「寮に立て籠もったこととか、懐かしいな」
「だな」
「なにしんみりしてんだお前ら。ガーッといくぞガーッと」
「……だな。この後、廃校式が待ってる」
「ああ、先輩達も来てるしな」
「…………」
「…………」
「…………」
「やっぱ、アレだな」
「あん?」
「……アイツとも一緒に、卒業したかったな」
「……そうだな……」


 +


 お兄ちゃん。
 ひまわりは今日、無事に卒業式を迎えることができたよ。
 就職先は、近くの街の小さな会社。
 どこまでできるかわからないけれど、頑張ってみるね。

 そして、卒業式が終わったら、病院に行こうと思ってる。
 病気とかじゃないよ? 産婦人科。

 多分、お腹の中に赤ちゃんがいるんじゃないかって、保健の先生に言われたの。
 ……うん、そうだよ。
 お兄ちゃんの、子供だよ。

 お兄ちゃん。
 今、お兄ちゃんが隣にいないのが、とても不思議だよ。
 いつも隣で、励ましてくれたよね。
 いつも二人で、将来のことを語り合ってたよね。
 お兄ちゃんは、いつも笑顔だったよね。
 でもひまわり、知っていたんだよ。
 ひまわりのいないところで、苦しんでいたこと。
 ずっと、痛みを堪えて、
 でも、ひまわりの前ではいつも元気そうにしてた。
 嬉しかった。けど、悲しかった。

 楽しいことも、悲しいことも。
 全部、二人で分け合ってると思ってた。

 ずるいよ、お兄ちゃん。
 つらいことだけ、全部一人で引き受けて。
 そっちのほうが、ひまわりはつらいのに。

 お兄ちゃん。
 ひまわりは、ずっと待ってるよ。
 お兄ちゃんが、戻ってくること。

 あの日。
 突然、病室からいなくなった日。
 急に倒れたお兄ちゃんは、ずっと意識不明だったのに。
 お兄ちゃんは、いなくなった。

 誰かが連れ去ったのか、それとも意識が戻ったお兄ちゃんが自らいなくなったのか、わからないけど。
 理由があって、いなくなったんだって。
 ひまわりは、そう思うから。

 いつか、お兄ちゃんが戻ってくるまで。
 ひまわりは、頑張るから。
 生まれてくる、子供と一緒に。

 だから、お兄ちゃん。
 ひまわりのことは、心配しないで。
 また、元気な顔を見せて。

 ───ずっと。
 ずっと、待ってるから。


 おわり。




 君が望むあとがき

 せっかくなのでグリグリ2で書いてみました。多分これ以上は書けないと思います。
 タイトルに深い意味はありません。なんとなく、丘の上で再会シーンとかいいかなあと思っただけです。
 ひまわりだけなんですよね。二人を絡めた「その後」が書けるのは。やっぱグリグリ2は一学期の学園生活を
 メインにしたほうが、SSは書きやすいと思います。書きませんけど。

 では、次の作品で

 2005.02.16 ちゃある
 

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