千歳みどり 誕生記念SS 永遠に……
遠くまで響く、鐘の音。
開く扉。
私は、今日───
───高崎みどりに、なる。
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「先生と結婚か、年上ってのはいいな」
結婚式の前日、みんなで集まった。そこでそう言ったのは、一番星君。
「ああ、いいもんだぜ」
と、祐介君が笑って答える。
「ま、一番先に墓場に足をつっこむとはな。てっきり俺は、バッチグーかと思ったけど」
「おれもすぐに結婚したかったっしょ。でも亜理紗が大学を卒業するまで待つって決めたっしょ」
がっくりとうなだれるバッチグーこと伊集院君。彼は今、北海道の牧場で働いている。
「相手がいるだけいいでごわすよ。おいどんはまだ独り身でごわす」
天神君はおろろ〜んと泣き出す。まあいつものことなんだけど。
「ま、個人的にはいろいろあるかもしれないけど、しっかり祝わせてもらうよ」
そう言って、一番星君は祐介君の肩を叩いた。
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祐介君は高校を卒業した後、調理師の専門学校への道を選んだ。なんでも「料理はみどりに任せられない」っていうのが動機だったらしいけど、それってひどくない?
無事に卒業して、今年からは地元のホテルの従業員として働いている。仕事はまあまあらしいけど、まだ見習いだからなのかな、愚痴も多い。
そして一年後、まだ桜の舞う季節に、祐介君は私をしっかりと見て、言った。
「───結婚しよう」
「……はい」
私に断る理由なんかなかった。もう私は、未来には戻らないのだから。いや、未来にはもう───。
───戻ることができないのだから。
そして、私たちは今日、結婚する。
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「……あ〜あ、結局祐介はみどりのもの、か」
残念そうな口調とは裏腹に、双葉ちゃんの顔には笑みが浮かんでいる。
ここは新婦の控え室。予算のない結婚式は、友達みんなで作ろうってことになった。私が着ているウエディングドレスは、なんと若葉ちゃんのお手製。胸元が大きく開いたドレスは少し恥ずかしいけれど、誰もがきれいだって言ってくれたことが嬉しい。
「どうですか? みどり先輩」
「あ、うん。いいんじゃないかな」
若葉ちゃんの言葉に、私は鏡を見て確認する。
「ね、みどり。あんた祐介と結婚するんだから、ちゃんと幸せにならないとだめだよ? じゃないと、祐介を奪いに行くからね」
「えへへ、残念でした。もう幸せだから双葉ちゃんの出る幕はありません」
「ちぇっ、所詮勝ち目のない戦いだったってことよね」
双葉ちゃんは頭を掻く。そして、二人で笑った。
「そろそろ、時間ですよ」
「……うん」
若葉ちゃんの声に、ゆっくりとうなずく。
扉の向こうには、祐介君が待ってる。
そして、私たちの未来が。
「……すうっ」
私は深呼吸を一つすると、未来への扉を開けた。
おわり。
僕が望むあとがき
千歳みどり生誕記念。ほぼ即興SSです(笑)
若葉ちゃんの時のネタが結婚だったので、みどりも同じにしました。導入がほぼ一緒なのは意図的です。
ま、ほかのキャラもこんな感じで書けたらいいな、と。
では。
2002.08.14 間に合いましたか? ちゃある