グリーングリーンSS番外編 君がくれるチョコレート
プロローグ Xデー前日
「なあ祐介、ついに明日はあの日っしょ」
おもむろに、バッチグーがニヤケた顔で切り出す。
コイツはいつも話が唐突だ。頭の中ではいろいろ考えているのだろうが、なんの前触れもなく話が始まる。
「へ? あの日って?」
「なに言ってるでごわすか。あの日って言ったらあの日でごわすよ」
「そうそう。愛のXデー」
どうやら理解していないのは僕だけらしい。だが何故かコイツらは瞬時に情報をやりとりできる。アイコンタクトなのだろうか。
……だから僕だけいつも逃げ遅れるんだな。
「ああもう、わかんねえよ。ちゃんと説明してくれよ」
「あーこれだから、男子校育ちはいやだっしょ」
みんな一緒だろうが、おい。
「明日は、バレンタインデーでごわすよ」
「ああ」
僕はぽんっと手を叩く。そう言えばそんなものもあったっけ。
「去年、一昨年は男ばかりだったから縁がなかったが、今年は違うっしょ。もうチョコレートもらい放題っしょ!」
「そうでごわす。おいどん甘いものは大好きでごわすよ」
「よし、じゃあみんなでチョコの数を競うか!」
「当然、ビリは罰ゲームっしょ」
「罰ゲームは、総長の頭を鷲掴みにして『似合ってねーな』って言うことにしよう」
「おおお、これは負けられないでごわす」
三人で話がどんどん進んでいく。こういうテンションは、三年経ってもついていけない。
「おい祐介。なに他人顔してるっしょ」
「え?」
「当然祐介どんも参加でごわすよ」
「ええ?」
「そうだな。罰ゲームが決まってるってのも可哀想だけど」
「おいおい、ちょっと待てよ」
「待たないっしょ。もう決まりっしょー」
嬉しそうに言うバッチグー。春乃がいると思って余裕だ。
「じゃあルールな。当日にもらったチョコの数で競う。どうだ?」
「問題ないっしょ」
「おっけーでごわす」
「いやでも、チョコだけじゃなくってその先も当然あるよな」
「そうでごわすな」
「では、いつものように」
バッチグーの合図で声を揃える三人。
「チョコ、渡す。股、ゆるむ」
『チョコ、渡す。股、ゆるむ』
「バレンタインアーンド」
『セーックス!!』
力一杯叫ぶ三人。いつもバカだバカだと思っていたが……。
「じゃあ祐介、そういうことで」
「そういうことでって……」
さっさと別の話を始める三人を見て、僕は大きなため息をついた。
#1 小林樹
さて、問題の当日。
バッチグー達は早朝からそわそわしている。と言うよりも既に妄想の中というのが正しいか。
朝食の時間からそわそわそわそわ。周りの女子達をキョロキョロと見回している。
まったくうっとおしい。
午前中の授業が滞り無く終わり、昼休み。
「やっぱり放課後が勝負っしょ」
「まあな、なかなか教室にチョコレート持ってくるなんて、勇気いるもんな」
「もう、照れないで渡してくれればいいでごわすのに。『天神君。これ』『なんだい、これ』『チョコレートよ。今日は好きな人に告白する日でしょ?』『ありがとう』『キスして』なんてやりとりをしたいでごわすー」
イヤ無理だって。特に最後。
「ったく、うっとおしいよな」
「樹もやっぱそう思うか?」
嫌そうな顔で近づいてきたのは、小林樹だ。
「もう朝から女どもが『これうけとってくださいー』とかってチョコレート持ってくんだよ。ま、端から断ってんだけど」
「ど・う・し・て・断るっしょ!」
樹の言葉に、噛み付くような勢いで割り込んできたのはバッチグーだ。
「な、なんだよバッチグー。そんな怖い顔して」
「お前はどうしていつもそうっしょ。なんでお前ばかり持てるっしょ!」
「知らねえよ。女の方に聞いてくれ」
やっぱルックスだと思うぞ、樹。
「ルックスなら負けてないっしょ。それよりも人間性で俺の方が勝ってるっしょ」
「何で涙流しながら力説してんだよ」
しかも間違ったことを。
「お前には、春乃がいるからいいだろ?」
はあ……とため息をつく樹。
「樹はわかってないっしょ。心はハニーのもの。でも、こんなにモテモテの俺。もてまくってる俺がハニーを選ぶことで、ハニーの株も上がるっしょ!」
鼻水を流しながら力説するバッチグー。あー、今日は寒いもんな。
「お前の言い分はわかった。でもそうなら。俺が断った分そっちにチョコがいくよな」
樹の言葉に、バッチグーはピクンと耳を立てる。
「そ、そうっしょ。ホントは俺にあげたい。でも俺にはハニーがいる。渡したくても渡せない思いが、勢い余って樹に向くっしょ!」
バッチグーは『すべてを理解した』とでも言うような表情で力説した。
「でも樹が断る。そこで俺が『君の愛情、受け取るっしょ』なんて甘い言葉で囁けばチョコは俺のものっしょ!」
「あり得ないだろ、それ」
「よーっし! これから樹にあげなかった女にアタックっしょーっ」
僕の言葉なぞ聞く耳も持たず、バッチグーは走り去っていった。
「……幸せなヤツだな」
「ああ……」
残された樹と僕は、そんな会話をかわす。
「さて、と。とりあえず俺も誰かからチョコレートもらっておかないとな。義理でも何でもいいから」
こっちが承諾していないとはいえ、罰ゲームだけは逃れたい。
最悪買う手も無くはない……が。
「あ……祐介」
その場を去ろうとする僕は、樹の声に足を止めた。
「なんだ?」
「こ、これ……」
樹らしくない、おずおずと差し出されたその手には、チョコレート。
「……え?」
樹が?
僕に?
……チョコレート?
妙に顔を赤らめている樹。まるで女の子のように。
そして、ドキドキしている自分。
……ちょっとまて。
相手は男だぞ?
「えー……」
「ば、バカ。た、頼まれたんだよ。お、女に」
僕の不安を察したのか、照れくさそうな顔で樹が言う。
「そ、そうだよな。樹が俺にあげるなんておかしいもんな」
「あ、当たり前だろ」
ハハ、ハ。
二人で乾いた笑い。
「は、早く受け取れよ。勘違いされるだろ?」
「お、おう」
樹にせかされ、僕は樹からチョコを受け取る。
「ところで、誰から預かったんだ?」
「え? あ、いや、忘れた。すまん。ほら、俺たくさんの女にこられたから、さ」
「あー、そうですか」
嫌みな奴め。
「とりあえずサンキュな。あと、今度その女探すの手伝ってくれよ。お礼しないとならないんだから」
「お、おう」
樹は一瞬戸惑ったような顔をする。もしかして、顔すら覚えていないのではないかと思う。
「じゃ、俺行くから」
「おう。頑張れよ」
「ああ」
そんな挨拶をかわし、僕は樹と別れた。
#2 朽木若葉
「若葉ちゃん。おいどんを助けると思ってお願いするでごわすよ」
「うーん。困りましたねぇ〜」
教室から聞こえてきたのは、天神と若葉ちゃんの声だ。
覗いてみると、土下座する天神の前で、若葉ちゃんが真剣な顔で悩んでいた。
……いつものように、サボテンを抱えて。
「何やってんだ?」
「あ、祐介どん。今若葉ちゃんにチョコレートをおねだりしていたでごわすよ」
「……お前なあ」
「仕方ないでごわす。他のおなごは全くくれなかったでごわす。おいどん、罰ゲームだけはなんとしても避けたいでごわすので、若葉ちゃんに頼んでいると言うわけでごわすよ」
「でも、若葉ちゃん困ってるじゃないか」
「私もできることならあげたいんですけど、チョコレートを買うお金がなかったんです」
本当に困った、という顔で若葉ちゃんは言った。
「そこを何とかでごわす」
「無理言うなよ天神」
「あ、カカオの木を育ててチョコを作れば……」
「若葉ちゃん。それ時間かかりすぎ」
「ですよねぇ……困りました」
うーん、と悩んでいる若葉ちゃん。
「なあ天神。もらえないところにいて時間つぶしてると、ホントに誰からももらえなくなっちゃうぞ」
「そ、そうでごわした。こうなったら数撃ちゃ当たるの作戦で行くでごわす!」
天神は大声を上げると、ダッシュで教室を出ていった。
切り替えの早い奴だなあ。
「ありがとうございました。高崎先輩」
「いや、ほら、大したことじゃないよ」
若葉ちゃんの言葉に僕はちょっと照れてしまう。
「えと、これ……お礼です」
そう言って、若葉ちゃんは僕に紙包みを差し出す。
「……なに、これ」
「今朝お姉さまに渡されたんです。一番大切に思う人にあげなさいって」
「……朽木に?」
「ええ。本当はお姉さまにあげたかったんですけど、男の方にあげるものだって言われたので」
「それって……」
「ええ。チョコレートです」
にこやかに、若葉ちゃんは言った。
「……俺で、いいの?」
「はい。高崎先輩は、特別ですから」
「……特別……」
心臓が、ドクンと鳴った。
「はい。皆さまのお手伝いをするのが私の役目なのに。私を手伝ってくれるのは高崎先輩だけですから」
そっか。だから『お礼』か。
僕は若葉ちゃんの言葉の意味を、理解した。
「じゃあ、ありがたくもらっておくよ」
「はい! 喜んでいただいて嬉しいです」
嬉しそうな表情で、若葉ちゃんは微笑む。
その笑顔に、僕も嬉しくなる。
「……あ、お花にお水あげないと」
「そっか。じゃあ俺もそろそろ」
「はい。また」
「じゃ」
僕は、手を振って若葉ちゃんと別れた。
#3 飯野千種
「イーヤッホーッ」
保健室の前、喜んで保健室から出てきたのは一番星だった。
一番星は僕には気づかないようで、スキップしながら反対方向に走っていった。
「こら、廊下は走らない」
その声とともに顔を出した先生と、目があった。
「あ、高崎君」
「……ども、こんにちは」
先生に対しての挨拶にしては微妙だな、と思いつつ、僕は会釈する。
「……ちょっと、良いかしら」
千種先生はさわやかな笑顔で、僕を呼ぶ。
「なんすか?」
「まあまあ。とにかく入って」
「はあ……」
僕は嫌な予感を覚えつつ、言われるがままに保健室に入る。
「ちょっと簡単な仕事があってね。簡単なんだけど、量が多いのよ」
「……やっぱり雑用ですか」
「そう言わない言わない。高崎君と先生の仲でしょう? ナ・ン・パ・君」
「もう一年以上前の話じゃないですか」
「そうね。もうそんなになるのね」
むっとした顔の僕を笑いながら、先生は少し遠い目をした。
「あのとき───」
つぶやくような口調のまま、先生は僕に視線を移す。
「───もし、何かが変わっていたのなら───」
その視線は、まっすぐに僕を捉えている。
何かを、望んでいる。
そう思ったのは、僕の思い上がりだろうか。
ともあれ、僕の心臓はその視線に貫かれたかのように、大きく鳴った。
喉が、乾く。
「千種……先生……」
僕はやっとの事で、先生の名を呼んだ。
鼓動が、更に高まる。
「───なんてね」
ふっと視線をゆるめ、先生は優しく微笑んだ。
「……いいかげん、そうやってからかうのもやめてくださいよ」
「あらいいじゃない。こうやって先生と話せるのも、今のウチよ」
先生は笑いながらそう言うと、いつものようにプリントを取り出した。
「じゃ、今日のノルマ、ね」
+
三十分後。
「先生、終わりましたよ」
「ご苦労様。助かったわ」
先生は、整理したプリントと入れ替えでお茶を置いてくれた。まるで僕が終わる時間を見透かしていたかのようなタイミングだ。
「あ、ありがとうございます」
茶を、すする。
緑茶のほのかな香りが、心地よい。
「ごめんね。お茶請けそれしかなくて」
「いや、いいですよ」
湯飲みの隣には、二つのチロルチョコ。
「今日ってバレンタインじゃない? さすがに全員分となると大変だから」
「ああ、それでですか」
「ええ。朝から来た子みんなに配ったら、あっと言う間に無くなったわ」
「でしょうね」
保健室に殺到する野郎共の光景が、目に浮かぶ。
「おかげで今日は仕事にならなくて、だから高崎君にお願いしたってわけ。ホント、いいところに通りがかったわね」
「そりゃどーも」
何となく腑に落ちない思いを感じながら、僕はチロルチョコを口に放り込む。
口に広がる、安っぽいチョコの味。
それは決してまずい味ではなく。むしろ子供の頃に親しんだ、懐かしい味だ。
「で、それは今日のお礼で、こっちは今までのお礼ね」
千種先生は、綺麗に包装された小さな箱を僕の前に置いた。
「え? これって」
「この一年いろいろ頼み事したでしょ。だからお礼。あ、私からもらったなんて言っちゃダメよ? 轟先生から生徒をひいきしないようにって、言われてるんだから」
「あ、ありがとうございます」
僕は先生に深々と頭を下げる。
「あ、勘違いしないでね。これは『今までのお礼』なんだから」
千種先生は強めな口調で、僕に言い聞かせるように言った。
……千種先生の頬が赤くなっているのは、照れているのか、それとも、少し強めのストーブのせいだろうか。
「……わかった?」
「はい。わかりました」
返事しながらも、千種先生の表情に思わず口元がゆるんでしまう。
「……ほんとにわかったのかしら」
千種先生は、小声でつぶやく。
「じゃあ僕、そろそろ行きますから」
「残り少ないけど、またお願いね」
「こんなお礼もらったら、断れませんよね」
僕は笑いながら言うと、もう一度お礼を言って保健室を出た。
エピローグ 結果発表
「なんで祐介だけそんなにもらってるっしょ!」
「そんなこと言われてもなあ……」
夕食後。
バッチグーの部屋に集まった僕達は、もらったチョコを出し合った。
結果、僕が三つ。そしてバッチグー、一番星、天神の三人はいずれも千種先生からもらったと思われるチロルチョコが一個だけだった。「吐け祐介、お前誰からもらったんだよ!」
「それは……」
言えない。
樹からもらったチョコは、相手が不明。
若葉ちゃんからもらったチョコは、天神の手前言いづらい。
そして千種先生からは口止めされている。もし言ったとしたら、それこそ危険だ。
「……さては、自分で買ったでごわすな?」
「違うって! とにかく、数は俺が三つでお前ら一個だろ。罰ゲームはお前らだからな」
「いいや、祐介が反則したから祐介の反則負けっしょ!」
「そうでごわす」
「違うって。これは確かにもらったんだって!」
「じゃあ証拠を見せてみろ」
「ぐ……」
証拠は、無い。
と、そのとき、
「お前らうるせえぞ!」
部屋の扉を豪快に蹴り開け、樹が怒鳴り込んできた。
「だって祐介が反則してるっしょ」
「反則なんかして無いって!」
「だからうるさいっての。で、祐介はいくつチョコもらったって?」
「……三つ」
「三つも……」
驚いた表情の樹。そんな顔しなくてもいいじゃないか。
「あー、でも一つは俺が預かったやつだろ」
「そ、そうだよ。樹から渡されたんだ。それは間違いない」
「本当か?」
「なんだよ、俺を疑うってのか」
バッチグーをにらみ返す樹。その気迫にたじろぐバッチグー。
「わ、わかったっしょ。ならその一個は認めるっしょ。でも残り二個は差出人不明で無効っしょ!」
「ぐ……」
まあでも、全員一個なら引き分けだろう。
「わかった。じゃあそれでいい」
「良かったでごわす。これで総長の愛情を受けなくて済むでごわす」
心底ほっとした顔をする天神。そりゃそうだろうな、と思う。
「いいかお前ら。決着が付いたなら静かにしろよな!」
樹は僕達をにらみ付けると、バタンと派手な音を立てて扉を閉めた。
「……ところでバッチグー、聞きたいことがあるんだが」
「おう、なんだ?」
「お前、亜理紗からチョコもらってないのか?」
僕の言葉に、バッチグーが硬直した。
「はは、コイツあちこちにチョコをねだってるところを目撃されて、愛想尽かされたんだぜ」
硬直したバッチグーに代わり、一番星が説明する。
「いいのか? 謝りに行った方がいいと思うぞ」
「いいっしょ。ハニーは俺の思いが分かってないっしょ」
「だったら、ちゃんと説明した方がいい。どうせお前のことだから、何の説明もしてないんだろ」
「ぐ……」
言葉に詰まるバッチグー。
「亜利沙のこと、好きなんだろ?」
「う……うん」
「だったら行って来い。早く行った方がいいぞ」
「そうでごわす。鉄は熱い内に掴めでごわすよ」
「それを言うなら、『鉄は熱い内に打て』だ」
掴んでどうする。
「バッチグー。お前の思いをしっかり伝えてこい」
「そ、そうするっしょ」
僕達の言葉に、バッチグーは立ち上がる。
「もし見回りが来ても、俺が適当に言っておくから」
「おう、一番星頼むっしょ」
バッチグーはそう言って、部屋を出ていった。
「しかし、一番星も天神も、バッチグーをそこまで応援してるとは思わなかったな」
「バカいえ。俺達は親友だぞ」
「そうでごわす。困っている友人は、助けるのが当たり前でごわす」
「お前ら……」
「……それに、やっぱバッチグーは亜理紗とくっつけておかないとな」
「そうでごわす。ライバルは少ない方がいいでごわす」
「それが本音か」
ニヤニヤする二人を見て、僕はため息をつく。
まあでも、バッチグーと亜理紗は良いカップルだしな。思惑はともあれ、いいんじゃないか。
僕は強引にそう思うことにする。
ま、いいか。
今日は、たくさんチョコレートもらったしな。
僕は今日のことを思い返しながら、いつチョコレートを食べようかと考えていた。
本日の成果
・知らない女の子(樹から預かった)
・若葉ちゃん
・千種先生
計 三個(歴代一位)
おわり。
君が望むあとがき
と、いうわけでグリグリ番外編です。オチがないのはごめんなさい。
本当は去年から想定していたネタなんですが、書き始めた頃が時季外れだったため、お蔵入りしてました。
……それを土壇場で見つけて書き始めたらやっぱり時間が足りなかったよ……。
補足しておきますと、背景的には『早苗エンド後』となります。拙作「空に届く」の背景と同一となります。
祐介達は三年になり、正式に共学となり、総長は留年しています(ぉぃ 一部のキャラが出ていないのは、そういう理由からです。
本当は三バカをメインにしたドタバタを書きたかったのですが、ちょっと無理がありましたね。
と、いうことでこんな感じで。
あ、もう一人『大切なキャラ』を出していないのですが、これはちょっと待ってください。
では、また次作でお会いできることを。
2004.02.14 ちゃある。