君が望む永遠 SS 超番外編 〜もう少しでも、あなたのそばにいられるなら〜  僕は遙さんと出会ってから、こまめに病院を訪れ、遙さんの病室に顔を出した。 彼女は3年もの間眠っていたとのことで、僕は冗談を交えて、現在の状況を説明し ていった。  妹の茜さんや、遙さんの両親にも会った。遙さんのお父さんには、 「今、遙はつらい時期です。申し訳ありませんが、少しでもいい、遙を支えてやっ てください」  と頭を下げられた。僕は緊張のあまり、うわずった声で返事をした。  やがて、地道なリハビリの甲斐もあり、9月の半ばには自宅療養が決まった。 「僕の役目も、終わりか……」  病院を出たら、遙さんと会うことも無くなるだろう。  僕の恋も、今日で終わりだ。  遙さんの退院の日、僕は仕事を休んで、遙さんの病室へ行った。病室はすっかり 片づけられており、後はカバンが一つ、残るだけだった。 「遙さん……今日で、さよなら、ですね」 「え?」  不思議そうな顔をする、遙さん。 「だ、だって、今日で退院じゃないですか」  本当は、もっと長くいたかったけど。  それは、彼女の退院が延びればいいと思うことだから。  僕は、何も言わなかった。 「ねえ、SHOさん」 「はい」 「私は、SHOさんの友達じゃ、無いのかな」 「え?」  唐突なことに、それ以上の言葉が出ない。 「私は、SHOさんを、友達だと思ってるよ?」 「あ……」  遙さんは、そう言って微笑んだ。  僕の好きな笑顔で。 「SHOさんが、私に笑顔をくれたんだよ?」 「あ、あの……僕の方こそ、あなたに、助けられました」  仕事でつらいとき、ぼそっと愚痴をこぼしたことがある。  彼女は僕よりも大変なはずなのに、彼女は何も言わず、僕の愚痴を聞いてくれた。 「僕なんかが、友達で、いいんですか?」 「私の方こそ……」  僕たちは、言葉を失った。  喉まで言葉が出てるのに、次の言葉が出てこない。 「お姉ちゃん、車が来たよ」  扉が開き、茜さんが入ってきた。 「あ、うん……」  遙さんが答える。 「ね、SHOさん。お願いがあるの」 「はい、何でも」 「一緒に、来て欲しいの、家まで」 「え?」 「それでね。私の家の場所、覚えて欲しいの。そうすれば、いつでも遊びに来られ る、よね?」 「あ、え、は、はい! 行きます。遙さんさえ良ければ」 「私はかまわないよ? だって、友達でしょ?」 「はい、ありがとうございます」  僕は頭を下げる。 「何か変な人みたいですよ」  茜さんのツッコミ。 「でも、これからも姉さんを助けてあげてください」 「はい。茜さん」 「もう、SHOさんはまた私を『さん』づけで呼ぶ〜」  良いながらも、茜さんが笑う。  僕が、遙さんの役に立てるなら。 「涼宮さん。準備は出来たかしら?」  モトコ先生の声。  僕は、何だってしてみせる。 「はい」 「そう、じゃあ、行きましょうか」  僕は、遙さんの荷物を持つ。  ありがと、と遙さんが微笑む。  だって僕は。  あなたのことを……。  end  SHOさんに贈る後書き  はい、そゆわけでSHOさん変^H^H編の2作目です。  何も考えず作ってるので中身が無くてスマンです。  いやあ、本当にこんなに純情なんですか? と問いつめたいですが、 これも遙のためです。遙をケダモノに渡すわけには行きませんので(苦笑)  かなり楽しんで書いてるので、もう少し書けそうです。  後10日で、クリスマス編か、何とかなるかな?(笑)  ……いじめてるわけじゃないですよ?(爆)  2001.12.14 クリスマスはもうネタがある(笑) ちゃある #公開にあたり、ちと直しました。