スナップショット ミルクとコーヒー
私は、コーヒーが苦手。
でも、彼は朝コーヒーがないと機嫌が悪い。
だから、私は毎朝コーヒーをいれる。
彼のために。
彼は、朝が早い。
でも、彼は朝ごはんをしっかりと食べる。
だから、私は毎朝朝食をつくる。
彼のために。
今日はスクランブルエッグ。
……うん、寝坊したわりにはふつーふつー。
後は食パンを焼くだけ。
猫舌の彼のためにコーヒーをいれると、私は彼を起こす。
「コーヒーが、はいりましたよ」
「……おー」
これで、後五分。
私はトースターに食パンをほうりこむ。
五分経つと、トースターからパンが飛び出す。
こんがり焼き上がった食パンをお皿に移す頃、彼が起きてくる。
「……ん〜おはよ」
「おはようございます」
最高の笑顔で、彼を迎える。
私の顔を見て、彼も微笑む。
その瞬間の顔が、好き。
ザバザバと顔を洗う音を聞きながら、食パンにマーガリンを塗る。
テーブルに並べ終わる頃、彼が戻ってくる。
「はい、じゃあいただきます」
「はい」
まずはコーヒーを一口。そして、私の目の前に置かれたミルクに手を伸ばす。
「ちょっと、もらうね」
「はい」
私はコーヒーが苦手。だから、朝はいつもミルク。
彼はいつも、私のミルクに手を伸ばす。
そして自分のコーヒーに、ちょっとだけミルクを足す。
深い茶色から、柔らかなブラウンに。
かわったところで、彼はそのコーヒーをちょっぴり、私のミルクに戻す。
純白の液体が、ほんのりとブラウンに変わる。
「早く、君と一緒にコーヒーが飲みたくてさ」
少しでも慣れるようにって、始めた行動。
今では、完全に朝の日課となっている。
「ちょっと……多いですね」
「大丈夫だろ? コーヒー牛乳より薄いぞ」
「むー」
そんな会話を交わしながら始まる、朝の食事。
いつもとかわらない。
幸せな、時間。
「よし、行って来ます」
「いってらっしゃい」
頬にキス。
彼の照れくさそうな顔。
パタン。
玄関が閉まる。
「よーし、今日も頑張るぞ!」
ガッツポーズ。
そして今日も、一日が始まる。
おわり。
僕が望む後書き
うむ、久々の本気オリジナルです(「紗夜僕」はある意味「実生活妄想SS」っぽいので)。とは言いつつもスナップショットレベルにしかならないのは、自分のダメさか。
ちなみに自分はコーヒーをブラックで飲むことが出来ませんが、こういう朝なら迎えてみたいかな?と思わなくも無く(苦笑)
今回はリハビリレベルですが、もう少し、長いのを書けるようになりたいですね。
では、次の作品で。
2003.08.29 構想1時間執筆30分。ちゃある